マンションの部屋で「ブーン」という低い音がする。夜になると聞こえたり、数分おきに鳴ったりするのに、どこから聞こえているのか分からない。
このような音は、自室の家電だけが原因とは限りません。給水ポンプやエレベーターなどの共用設備、ほかの住戸で使われている設備の振動が、建物を伝わって聞こえることもあります。
実際に日本建設業連合会では、地下室の給水ポンプの運転音「ブーン」がスラブや壁を伝わり、上階の居室で聞こえていたマンションの事例を公開しています。
そのため、「壁から聞こえるから壁の中」「天井から聞こえるから上の部屋」と、音が聞こえる方向だけで原因を決めることはできません。
まず確認したいのは、いつ鳴るか・どう鳴るか・どこで強いか・何と連動するかの4点です。
マンションのブーン音は4つの手がかりから確認する
原因を探すときは、音が聞こえる方向だけを追うのではなく、**「いつ・鳴り方・場所・連動」**の4つに分けて考えます。

特に手がかりになるのが、音の発生と設備の動作が一致するかどうかです。
自室の設備を止めると音も消えるなら、その設備から確認できます。反対に、自室の設備を止めても続く場合は、共用設備やほかの住戸の設備まで候補を広げます。
この時点で原因を特定する必要はありません。まずは、自室から出ている音なのか、それ以外なのかを切り分けてください。
深夜・夜になるとブーン音が気になるのはなぜ?
夜にブーン音が気になる場合は、大きく3つのパターンがあります。
- 昼間から鳴っている音が、夜になると聞こえやすくなる
- 深夜にも動くマンション設備から実際に音が発生している
- ほかの住戸で夜間に使われる設備から音が発生している
同じ「夜に聞こえるブーン音」でも、状況はそれぞれ異なります。
昼間も鳴っている音が静かな深夜に目立つことがある
夜に聞こえるからといって、音源が夜だけ動いているとは限りません。
昼間は車の走行音や人の声、テレビ、家電など、さまざまな音があります。同じブーン音が発生していても、それらに紛れて気づかなかったものが、周囲が静かになる深夜にはっきり聞こえることがあります。
環境省も、低周波音に関する苦情について、暗騒音が小さい静かな環境では、小さい低周波音への苦情が多く見られたとしています。
つまり、
「深夜になると音が発生する」のか、
「深夜になると音が聞こえる」のか
は分けて考える必要があります。
昼間でも部屋を静かにすると同じ音が聞こえるなら、もともと発生している音が夜に目立っている可能性があります。
環境省|周囲が静かな環境で低い音が問題になりやすい理由を確認する
深夜にも自動で動くマンション設備がある
マンションには、住人が直接操作しなくても動く設備があります。
給水・排水設備や換気設備、エレベーターなどです。こうした設備は深夜にも作動することがあり、機械そのものが離れた場所にあっても、その振動が建物を伝わる場合があります。
日本建設業連合会が公開している事例では、マンションの住人から、就寝中の真夜中にポンプの「ブーン」という運転音がして眠れないという改善要望がありました。
調査すると、発生源は地下室の給水ポンプでした。ポンプの駆動による振動がスラブや壁を伝わり、上階の居室で音として聞こえていたものです。その後、防振処理によって固体音が解消されています。
「真夜中に聞こえる」というだけで、自室や隣室の設備に原因を絞ることはできない実例です。
日本建設業連合会|地下の給水ポンプの「ブーン」が上階居室まで伝わった事例
ほかの住戸の設備が夜間に使われている場合もある
夜になると、エアコンや換気設備などを使い始める住戸もあります。
この場合は、昼間から発生していた音が静かな夜に目立っているのではなく、ほかの住戸の設備が動き始めたことで実際に音が発生している可能性があります。
ただし、「夜に始まるから隣の部屋だろう」と決めつけることはできません。夜間に使われる設備も、原因候補の一つとして考えます。
マンションでブーン音がする主な原因
自室の家電・換気設備|止めると音も止まる
最初に切り分けやすいのは、自分の部屋にある設備です。
エアコン、換気扇、浴室乾燥機、空気清浄機など、モーターやファンが動く機器はブーン音の発生源になることがあります。冷蔵庫もコンプレッサーが動く時間と止まる時間があるため、断続的に聞こえる場合があります。
音がしている最中に、操作できる機器を一つずつ停止します。
特定の機器を止めると音も消え、運転すると再び同じ音が出るなら、その設備との関連性が高くなります。
一つずつ止めても音が続く場合は、自室以外の原因も考えます。
給水・揚水・排水ポンプ|周期的・断続的に鳴ることがある
「ブーン」と鳴ってしばらくすると止まり、時間を置いてまた鳴る。このような断続的な音では、マンションのポンプ類も候補になります。
給水・揚水・排水ポンプなどは、必要に応じて運転と停止を繰り返します。
ポンプの振動は、設置されている機械室だけで聞こえるとは限りません。配管や支持部、床や壁などを介して別の場所へ伝わることがあります。

エレベーター|昇降するタイミングで鳴る
ブーン音とエレベーターの昇降が何度も一致するなら、エレベーター設備との関連を疑う材料になります。
エレベーターでは、巻上機などの機械だけでなく、かごやつり合いおもりが動くことで生じた振動が建物へ伝わることがあります。
一度だけでは判断できませんが、エレベーターが動くたびに同じ音が出るなら、原因を絞る重要な手がかりです。
換気・空調設備|長時間または連続して鳴ることがある
数分おきに鳴るのではなく、長い時間ほぼ一定のブーン音が続く場合は、換気・空調設備も候補です。
換気・空調設備では、ファンやモーターの運転に伴って長時間ほぼ一定の音が続くことがあります。
断続的なのか、長時間続くのか。鳴り方の違いも原因候補を分ける手がかりになります。
ほかの住戸の設備|生活時間と連動することがある
エアコンや換気設備など、ほかの住戸で使われている機器の振動が伝わる場合もあります。
特に、毎晩ほぼ同じ時間帯に始まり、しばらくすると止まるようなパターンでは、住人の生活時間と連動して使われる設備も候補に残ります。
壁・床・天井から聞こえても、そこが原因とは限らない
マンションでは設備の振動が建物を伝わる
マンションのブーン音では、音が聞こえる場所と、実際に振動が発生している場所が離れていることがあります。
給排水ポンプやエレベーターなどの設備が動くと、その振動が床や梁、壁などの構造体へ伝わる場合があります。振動が離れた場所まで届き、壁や床、天井を振動させると、そこで「ブーン」という音として聞こえることがあります。
このように、建物の構造体を介して伝わる音を**固体伝搬音(固体音)**といいます。
住まいるダイヤルの住宅紛争処理技術関連資料でも、集合住宅ではポンプなどの設備振動が建物を伝わり、居室側で音として聞こえる仕組みが示されています。
住まいるダイヤル|ポンプなどの振動が建物を伝わって居室で聞こえる仕組み
つまり、寝室の壁でブーン音が強く聞こえても、壁の内部に音源があるとは限りません。離れた場所にある設備の振動が、その壁まで伝わっている可能性もあります。
音が一番大きい場所だけで発生源を決めない
音が強く聞こえる場所を確認すること自体は、原因を探る手がかりになります。
ただし、
- 壁で強い → 壁の中が原因
- 床で強い → 下階が原因
- 天井で強い → 上階が原因
とは判断できません。
「寝室の壁で強い」だけでは原因を絞りにくくても、深夜に発生する・数分で止まる・自室の設備を止めても続くといった条件が重なれば、自室以外の設備まで候補を広げられます。
壁そのものからブーン音がしている場合は、”壁からブーンという音がする原因とは?電気設備・給湯器・換気設備による異音を詳しく解説”の記事を参考にしてください。

ブーン音の発生源を自分で切り分ける6ステップ
STEP1 音が始まった時刻と止まった時刻を記録する
「夜中によく鳴る」ではなく、開始と終了の時刻を残します。
たとえば、
0時42分~0時47分
2時15分~2時19分
のように記録します。
数日分がたまると、毎日似た時刻に鳴るのか、一定の間隔があるのかといったパターンも見えてきます。
STEP2 ずっと鳴るのか、途中で止まるのかを見る
音が続く時間と、止まり方を確認します。
数時間ほぼ一定に続く
数分鳴って止まり、また鳴る
短い音を一定間隔で繰り返す
同じブーン音でも鳴り方はさまざまです。
原因を推測するより先に、音がどのように始まり、どのくらい続いて、どう止まるのかを残してください。
STEP3 自室の設備を一つずつ止める
音が鳴っている最中に、自分で操作できる設備を一つずつ止めます。
エアコン、換気扇、浴室乾燥機、空気清浄機などです。
一度にすべて止めるのではなく、一つ止めるたびに音が変化したかを確認します。
ある機器を止めると音も消え、再び運転すると同じ音が出る。その状態が繰り返し確認できれば、その機器との関連性は高くなります。
反対に、操作できる自室設備を止めても音が変わらなければ、自室以外に原因がある可能性も考えます。
STEP4 どの部屋・どの場所で強く聞こえるか確認する
音が鳴っている間に、可能であれば複数の場所を確認します。
寝室だけなのか、リビングや廊下でも聞こえるのか。同じ部屋でも、壁際・床・天井付近・部屋の中央で聞こえ方が違うのかを見ます。
ここで確認する目的は、発生源を決めることではありません。音がどこで強く現れているかを記録するためです。
「寝室の北側の壁と床付近で強い」など、できるだけ具体的に残しておくと、管理会社にも状況を伝えやすくなります。
STEP5 設備の動作と音が連動していないか確認する
ブーン音が始まったときに、周囲の設備の動きも確認します。
特に手がかりになりやすいのは、
- エレベーターが動いたとき
- 自宅で水を使ったとき
- 換気・空調設備が動いたとき
- 自室の家電を動かしたとき
です。
一度だけ同じタイミングだった場合は、偶然かもしれません。
一方、エレベーターが動くたびに鳴る、特定の設備を動かすたびに鳴るなど、同じ現象が繰り返されるなら、発生源を絞る材料になります。
なお、自宅で水を使っていないときに鳴ったからといって、マンションの給水設備を除外することはできません。集合住宅では、ほかの住戸でも水が使われています。
STEP6 数日分を並べてパターンを見る
1回だけでは分からなかった音も、数日分を並べると共通点が見えることがあります。
| 日時 | 鳴り方 | 強く聞こえる場所 | 確認できたこと |
|---|---|---|---|
| 9/3 0:42~0:47 | 約5分間連続 | 寝室の壁・床 | 自室のエアコン・換気扇を止めても継続 |
| 9/3 2:15~2:19 | 約4分間連続 | 寝室の壁 | エレベーター昇降あり |
| 9/4 0:38~0:43 | 約5分間連続 | 寝室の壁・床 | エレベーターとの連動は確認できず |
| 9/4 2:12~2:17 | 約5分間連続 | 寝室の壁 | 自室設備を止めても継続 |
見るポイントは、似た時刻に繰り返しているか、継続時間に共通点があるか、自室設備の停止で変化するか、特定の設備と繰り返し連動するかです。
原因を自分で特定できなくても問題ありません。
「夜中にブーン音がする」から、**「午前0時台と2時台に約5分間、自室設備を止めても続く」**まで具体化できれば、管理会社が建物側の設備を調べる材料になります。
ブーンという音だけで「低周波音」とは判断できない
「ブーン」「ウーン」という低い音が続くと、低周波音ではないかと考えるかもしれません。
ただし、聞こえ方だけで低周波音とは判断できません。
環境省では、低周波音について専用の測定方法や周波数ごとの分析方法を示しています。そのため、耳で「ブーン」と聞こえたことや、スマホアプリに表示された数値だけで低周波音と判断することはできません。
マンションのブーン音には、機械やファンなどさまざまな発生源があり、その振動が建物を伝わって聞こえる場合もあります。
「低く聞こえる」という感覚だけで、原因を低周波音に絞らないようにしてください。
スマホアプリは記録には使えるが、正式な判定はできない
スマートフォンの騒音計や周波数分析アプリでは、音の大きさや周波数らしき数値を表示できるものがあります。
しかし、
「50Hzと表示されたから低周波音が原因」
「数値が小さいから問題ない」
といった判断には使えません。
スマホは測定器の代わりではなく、発生時刻のメモや録音、発生状況を残すための補助として使う方が実用的です。
録音できなかった場合も、それだけで音が発生していなかったとは判断できません。録音の成否よりも、発生した時刻や継続時間、設備との連動など、実際に確認できたことを残しておいてください。
原因が分からないときは管理会社へ相談する
自室の設備を止めてもブーン音が続き、数日記録しても原因が分からない場合は、管理会社や管理組合へ相談しましょう。
特に、
- 夜間・深夜に繰り返し発生する
- 睡眠を妨げている
- 壁や床に振動を感じる
- 自室の設備を止めても変わらない
- 似た時間帯に何度も発生する
といった状態なら、居住者だけで発生源を探し続けるより、共用設備を含めて確認してもらう方が現実的です。
原因を自分で特定してから相談する必要はありません。
管理会社には原因の推測より発生記録を伝える
管理会社には、これまで確認した発生日時や鳴り方、設備との連動を具体的に伝えます。
たとえば、
9月3日の0時42分から約5分間、寝室でブーン音がしました。壁と床付近で強く感じ、自室のエアコンと換気扇を止めても続いていました。同じような音が2時台にも発生しています。
ここまで具体的なら、管理側も発生時間と設備の運転状況を照らし合わせやすくなります。
「隣の部屋からだと思う」「給水ポンプが怪しい」と原因を推測して伝えるより、実際に確認できた事実を伝えることがポイントです。
共用設備は自分で確認・停止しない
給水・排水ポンプ、エレベーター、共用の換気設備などが疑われても、居住者が機械室へ入ったり、設備を停止したりしないでください。
管理会社や管理組合から、設備の保守会社などへ確認してもらいましょう。
発生時刻が分かっていれば、その時間帯にポンプが動いていたか、エレベーターが運転していたかなど、設備側の情報と照合できる場合があります。

管理会社でもブーン音の原因が分からない場合
管理会社が確認に来たときには音が止まっているなど、一度の確認では原因を特定できないこともあります。
その場合は、発生記録を続けます。同じ時間帯や条件で繰り返していることが分かれば、設備保守会社による運転確認や点検につなげやすくなります。
それでも原因を特定できず、睡眠など生活への支障が続く場合は、騒音・振動の専門調査が必要になることもあります。
マンションのブーン音でよくある質問
深夜だけ聞こえるなら給水ポンプが原因ですか?
給水ポンプは候補の一つですが、深夜に聞こえることだけでは判断できません。
深夜にも動く共用設備はほかにあります。また、昼間から発生している音が、周囲の静かな深夜になって目立っている可能性もあります。
深夜・断続的・自室設備を止めても続くといった条件が重なる場合は、共用設備も含めて管理会社へ確認を依頼しましょう。
上の階から聞こえるなら上階の住人が原因ですか?
上から聞こえるという感覚だけでは判断できません。
マンションでは、設備から発生した振動が床・梁・壁などを伝わり、実際の発生源とは違う方向から聞こえることがあります。
上階の住人へ直接確認する前に、発生時刻や鳴り方を記録して管理会社へ相談する方が、原因を絞りやすくなります。
まとめ|ブーン音は発生時刻と設備との連動を残す
マンションのブーン音は、聞こえる方向だけでは発生源を特定できないことがあります。
自室の設備を止めても繰り返す場合は、発生時刻と設備との連動を記録して管理会社へ伝えてください。
原因を自分で特定できなくても、具体的な発生記録があれば、建物側の設備を調べる手がかりになります。


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