「昨日までは普通に回っていたのに、今日は同じ風量でも明らかに遅い」
このように、以前と比べて扇風機の回転が明らかに遅くなった場合は、そのまま使い続けないでください。
羽根がまだ回っていても、内部部品の劣化や不具合によって正常に回転できなくなっている可能性があります。いったん電源を切り、電源プラグをコンセントから抜いてください。

扇風機が以前よりゆっくりしか回らないなら、まず使用を止める
異常な低速回転は、それ自体が使用を中止すべき症状の一つです。
異音や振動、回転の不規則さ、モーター部分の異常な発熱、焦げ臭さ、電源プラグやコードの異常発熱なども重なっている場合は、電源を入れ直して様子を見ず、販売店やメーカーへ点検・修理を相談してください。
こうした状態で使い続けると、内部部品の劣化によって発熱や発火につながることがあります。
「遅い」の基準は回転数ではなく、以前との違い
家庭で「○rpm以下なら故障」と判断できる共通の回転数はありません。
扇風機には機種や風量設定によって、もともと羽根をかなりゆっくり回すものもあります。そのため、羽根がゆっくり見えるというだけで故障とは判断できません。
見るべきなのは、その扇風機自身の以前の動きと比べて変化したかです。
たとえば、毎日「中」で使っていた扇風機が、同じ設定なのに以前の「弱」より遅く感じる。このように、同じ使い方をしているのに明らかな変化が出た場合は、もともとの低速運転とは分けて考えましょう。
電源プラグを抜いてから確認できるのはここまで

羽根・ガード周辺に異物や接触がないか確認する
羽根に少しホコリが付いているだけで、「これが原因で回転が遅くなった」と決めることはできません。
見るべきなのは、羽根の回転を物理的に邪魔するものがないかです。
異物が挟まっている、羽根がガードなどに触れている、外から見て羽根の位置がおかしい、といった状態がないか確認してください。
外から見える範囲に問題がないのに以前より明らかに回転が遅くなっている場合は、ここから先を分解して原因を探す段階ではありません。
掃除や組み立ての直後なら、羽根の取り付け状態を確認する
「掃除するまでは普通だったのに、組み直してから回転がおかしい」という場合は、症状が出始めたタイミングそのものが判断材料になります。
羽根やガードを外して掃除した直後なら、羽根や固定部品が正しく取り付けられているか確認してください。
固定方法や部品の向きは機種によって異なります。他機種の取り付け方を流用せず、その製品の取扱説明書に従って組み直してください。
古い扇風機なら製造年と「設計上の標準使用期間」を確認する
長く使っている扇風機では、本体に記載された**製造年と「設計上の標準使用期間」**も確認してください。
扇風機は「長期使用製品安全表示制度」の対象です。2009年4月1日以降に製造された対象製品には、製造年、設計上の標準使用期間、経年劣化についての注意喚起が表示されています。
ただし、設計上の標準使用期間は一律の「寿命」や保証期間ではありません。
一定の使用条件のもとで安全に使用できる期間として設定されたもので、期間を過ぎた瞬間に故障するという意味ではありません。反対に、期間内なら異常が出ていても使い続けてよいという基準でもありません。
今回のように以前にはなかった回転の遅さが出ている製品では、製造年とあわせて経年劣化の可能性を考える材料の一つとして使えます。
外から確認しても原因が分からない場合に考えられる内部異常

「ゆっくりしか回らない」という症状だけでは、故障している部品まで特定できません。
長期間使用した扇風機では、モーター巻線や運転コンデンサーの劣化、軸受部の固着、首振りによる内部配線の断線などから、発熱・発火に至った事故があります。軸受部が固着してモーターに負荷がかかり、異常発熱するケースもあります。
そのため、症状だけを見て「コンデンサーが原因」と断定することはできません。
外から原因が分からない場合は、モーターカバーを開けたり、内部へ潤滑剤を入れたり、コンデンサーなどの部品を交換したりせず、修理か買い替えを推奨します。
修理するか買い替えるかの判断
使用年数、本体に表示された設計上の標準使用期間、修理費と現在の本体価格を比べます。
まずメーカーの修理可否と費用を確認する
比較的新しく、メーカーの修理対象になっている製品なら、型番を確認して修理できるか、費用がどのくらいかを調べます。
修理費は、メーカー・機種・実際に故障している部品によって変わります。
一例として、東芝の扇風機では「羽根の回転が遅い」という症状に対し、予想交換部品を「モーター組立」、持ち込み修理の概算料金を**11,000~14,000円(税込)**としています。
これは東芝製品の概算例です。実際の故障箇所や機種によって費用は変わります。
購入価格がそれほど高くない扇風機なら、修理費と新品の価格が近くなることもあります。修理できるかどうかだけで決めず、見積もりを取ってから比較してください。
長期間使っているなら買い替えも比較する
長く使っている扇風機では、修理費だけでなく、本体の製造年と設計上の標準使用期間も判断材料にしましょう。
長期使用した製品ですでに回転異常が出ているなら、故障した部分を修理して使い続けるか、新しい製品へ買い替えるかを比較する段階です。
設計上の標準使用期間を超えている、使用年数が長い、修理費と新品価格の差が小さいといった条件が重なるほど、買い替えを選ぶ合理性は高くなります。

扇風機がゆっくりしか回らないときのよくある疑問
羽根を手で回して確認してもいい?
電源を入れた状態で羽根を手で押し、回り始めるか試す確認はしないでください。
「手で押すと回るか」で故障箇所を推測する方法もありますが、異常な低速回転が出ている製品を診断目的で再運転させる必要はありません。
電源プラグを抜いた状態で、羽根への接触や異物、取り付け状態を外から確認するところまでにしましょう。
クレ556などの潤滑剤をモーターや軸に使ってもいい?
取扱説明書で指定されていない場所へ、自己判断で潤滑剤を入れるのは避けてください。
軸受部の潤滑状態が悪くなると、羽根の回転を妨げることがあります。長期間の使用で軸受部の潤滑油が消耗し、モーターシャフトの回転が悪くなった結果、モーターが停止して過熱・燃焼した事故もあります。
ただし、これは「回転が遅いなら油を差せば直る」という意味ではありません。低速回転だけでは軸受部が原因かどうかは分からず、潤滑剤を使用できる場所や方法も製品によって異なります。
取扱説明書に注油方法が指定されている場合を除き、モーター内部や軸受部まで分解して注油しないでください。
コンデンサーを交換すれば直る?
コンデンサーは原因候補の一つですが、回転が遅いという症状だけでは断定できません。
コンデンサーの劣化で正常に運転できなくなることはありますが、モーターや軸受部など別の箇所に異常がある可能性もあります。長期使用した扇風機では、コンデンサーの絶縁劣化による短絡・発火事故も実際に発生しています。
また、部品交換後に羽根が回るようになったとしても、それだけでほかの部分に異常がなく、安全に使い続けられると判断することはできません。
外から原因が分からない場合は、コンデンサーを自分で交換せず、修理または買い替えで対応してください。


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