午後になると、朝や昼間は気にならなかった部屋が急に暑くなる。
特に西向きの窓では、夕方になるにつれて窓際の床や壁まで熱を持ち、エアコンをつけているのに「この窓の近くだけ暑い」と感じることがあります。
西日対策というと遮熱カーテンを思い浮かべるかもしれませんが、国土交通省の住宅設計資料では、東西面は低い高度から入る日射を外付けの日射遮蔽部材で遮る考え方が示されています。
つまり、西日が強い窓では、
室内に入ってから遮るだけでなく、窓を通る前に日射を遮れるか
が重要になります。
さらに、西向きの室内を対象にした実測研究では、日射を遮った場合に窓際の黒球温度や体感温度が低くなった結果も報告されています。
この記事では、西日がなぜ室内を暑くしやすいのかを確認したうえで、実測データと公開情報から、窓まわりではどの対策を優先すればいいのかを整理します。

西日はなぜ室内を暑くしやすいのか
西日は低い角度から窓へ入りやすい
夏の日差し対策は、窓の方角によって考え方が変わります。
国土交通省の住宅省エネルギー設計資料では、夏は東西面の日射による影響が大きくなることが示されています。
南側では、夏の日中は太陽高度が高いため、軒や庇で上からの日射を遮りやすくなります。
一方、西側では夕方になるにつれて太陽の位置が低くなります。
南側
高い位置の太陽
↓
軒・庇
↓
窓
西側
低い位置の太陽 → 窓
この違いがあります。
そのため、「窓の上には庇があるのに、夕方になると西日が直接入ってくる」ということが起こります。
国土交通省の2026年の設計ガイドでも、東西面については、ブラインドやシャッターなどの外付け日射遮蔽部材によって低い高度からの日射を遮る方法が示されています。

窓から入った日射は床や壁にも影響する
西日が窓ガラスを通って室内へ入ると、日射を受けた床や壁、家具なども暖まります。
「エアコンの設定温度は変えていないのに、夕方になると窓際へ行くだけで暑い」
この場合、外気温だけを見るのではなく、西日が窓から直接入っていないかを確認します。
窓際だけ暑さが強く、日が沈むにつれてその状態が変わるなら、日射の影響を切り分ける材料になります。
西日を遮ると室内はどれくらい変わる?
西向き教室では窓側の黒球温度に4.0℃の差
西日を遮ることで室内環境がどれほど変わるのか。
奈良女子大学大学院の研究では、西向きの教室を使って、窓際に植生を設けた教室と比較対象となる教室の温熱環境を測定しています。
その結果、植生を設けた教室では、窓側の黒球温度が8月平均で4.0℃低くなりました。
ここで注意したいのは、「西日を遮れば室温が4℃下がる」という結果ではないことです。
黒球温度は一般的な室温計で測る気温とは異なり、周囲から受ける放射熱などの影響も反映する指標です。
つまり、この研究から読み取れるのは、
西日などの日射を遮ることで、窓際で人が受ける暑熱環境に大きな差が生じる場合がある
ということです。
窓際に座ると暑い、夕方になるとソファの位置だけ暑く感じる、といった状態を考えるうえでも参考になります。

西向きでは体感温度にも差が確認されている
別の研究では、南向き室と西向き室について、窓際植生による日射遮蔽効果が比較されています。
7~9月の晴天日で日射の影響を受けやすい12~16時を比較すると、植生室とブラインド室の黒球温度差は、
- 南向き:-0.3℃
- 西向き:-0.9℃
でした。
さらに被験者実験では、西向きの植生室はブラインド室より体感温度が1.5℃低い結果が報告されています。
ここでも数字をそのまま一般住宅へ当てはめることはできません。
ただ、日射の強い西向き室で、窓の外側にある植生による暑熱緩和効果が実測されたことは、西日対策を考えるうえで参考になります。
実際の住宅でも西日を遮る効果が確認されている
教室だけではありません。
島根大学などによる「出雲平野の築地松の西日遮蔽効果」に関する研究では、住宅西側に築地松がある住宅と、ない住宅について、
- 日射量
- 外気温
- 外壁の内外表面温度
- 室温
が実測されています。
築地松がある住宅では日射量が著しく小さく、外壁の内外表面温度だけでなく、室温も明らかに低かったと報告されています。
さらに45軒の築地松の形状から算出した代表的な日射遮蔽率は8割強でした。
築地松のように住宅の西側で日射を遮ることには、実測でも温熱環境を改善する効果が確認されています。
J-STAGE|出雲平野の築地松の西日遮蔽効果に関する実測および幾何学的評価

公開情報を横断調査|西日対策は3段階で考える
西日対策を国土交通省や環境省などの公開情報から整理すると、考え方は大きく3段階に分けられます。
① 窓の外で遮る
② 窓で日射熱を減らす
③ 室内側で補う

① まず「窓の外」で日射を遮る
環境省は夏の住宅の日射対策として、外付けブラインドやすだれ、シェードなどによる窓の日よけを紹介しています。
国土交通省の住宅省エネルギー設計資料でも、スクリーン、すだれ、オーニング、ブラインドシャッター、ルーバーなど、窓の外側で日射を遮る方法が示されています。
西日が強い窓なら、
- 外付けシェード
- すだれ・よしず
- 外付けブラインド
- ルーバー
- オーニング
- 植栽
などが候補になります。
ここで重要なのは、どの商品を使うかよりどこで日射を止めるかです。
室内側のカーテンで遮る場合、日射はすでに窓ガラスを通過しています。一方、シェードやすだれなどを外側に設置すれば、窓へ入る日射そのものを減らせます。
特に西日は低い角度から入るため、窓の上にある庇だけではなく、窓面を覆うように遮れるかも確認します。

② 次に「窓」で入ってくる日射熱を減らす
毎年同じ窓から強い西日が入るなら、窓そのものの日射遮蔽性能を高める方法もあります。
代表的なのが、日射遮蔽型のLow-E複層ガラスです。
※Low-E複層ガラス:複数のガラスと特殊な金属膜を組み合わせ、熱の出入りを抑える性能を高めたガラス。Low-E膜の配置や製品によって、日射を取り込みやすいタイプと遮りやすいタイプがあります。
後付けでは、窓用の日射遮蔽フィルムという選択肢もあります。
環境省の環境技術実証事業でも、窓用日射遮蔽フィルムは冷房負荷を低減する技術として実証対象になっています。
ただし、フィルムなら何でも今の窓へ貼ってよいわけではありません。ガラスの種類やフィルムの仕様によって使用条件が異なるため、貼り付け可能なガラスかを製品情報で確認してから使用します。
③ 「室内側」でさらに補う
外側へ日よけを設置できない場合は、遮熱カーテンやブラインド、ロールスクリーンなどを使って室内側で日射を遮る方法があります。
賃貸住宅やマンションでは、外側にシェードなどを自由に設置できないこともあります。その場合には現実的な選択肢です。
ただ、室内側の対策と外側の対策は同じではありません。
強い西日が窓へ直接当たっているなら、「遮熱カーテンをもっと厚くする」だけで考えず、住宅の条件が許せば外側で遮る方法も候補に入れます。
西日が強い家では何から始めればいい?
まず費用を抑えて試したい
西日が入る時間帯に窓を見て、どこまで直射日光が当たっているかを確認します。
窓全面に夕日が当たっているなら、後付けできるシェードやすだれなど、窓の外側で遮る方法を検討しやすい状態です。
外側への設置が難しければ、遮熱カーテンやブラインドなど室内側から始めます。
対策後は、「部屋全体が何℃変わったか」だけでなく、夕方の窓際や床の暑さがどう変わったかも見てください。
庇があるのに午後になると暑い
「庇があるから日よけはできているはず」と思っていても、午後に窓ガラスへ直接日が当たっているなら、西日を遮り切れていない可能性があります。
この場合は庇をさらに深くするという話ではなく、窓面を覆うシェードや外付けブラインドなど、低い角度から入る日射を遮れる方法を検討します。

賃貸で窓を交換できない
賃貸なら、まず原状回復しやすい方法から考えます。
すだれやシェードを使う場合も、外壁への穴あけや共用部分への設置が必要になるものは自己判断で取り付けず、賃貸借契約や管理規約を確認します。
外側へ設置できなければ、遮熱カーテンやブラインドなど室内側の対策へ切り替えます。

持ち家で毎年同じ窓が暑い
「毎年、夏になると夕方だけこの部屋が暑くなる」
同じ西向き窓で繰り返しているなら、エアコンの設定温度だけで対応するのではなく、室内へ入る日射熱を減らす対策を検討する余地があります。
まず外付けの日射遮蔽が可能かを確認し、それでも改善したい場合は、日射遮蔽型Low-E複層ガラスなど窓自体の性能改善も選択肢になります。
西日対策で失敗しないために確認したいこと
外付けの日よけは強風時の扱いを確認する
シェードやすだれ、オーニングなどは屋外に設置するため、風の影響を直接受けます。
「夏の間は付けっぱなしでいいだろう」と考えず、使用している製品の耐風条件や、強風時に収納・取り外しが必要かを確認します。
特に台風や強風が予想される場合は、製品の取扱説明書に従って対応してください。
遮熱フィルムは貼れるガラスか確認する
遮熱フィルムは後付けしやすい一方、ガラスの種類や施工条件によっては使用できない製品があります。
複層ガラス、網入りガラスなど、今使っているガラスへの施工可否を確認せずに貼るのは避けます。
製品メーカーが示す対応ガラスや施工条件を確認し、判断できない場合は販売元や施工業者へ確認します。
夏だけでなく冬の日射も考える
夏には室温上昇の原因になる日射も、冬には室内へ熱を取り込む方向に働きます。
そのため、窓自体を日射遮蔽型のガラスへ変更したり、恒久的な遮熱方法を採用したりする場合は、西日だけを見て決めず、冬を含めた年間の使い方も考えます。
一方、シェードやすだれなど取り外し・収納できる日よけなら、夏は日射を遮り、必要がなくなれば外すという使い分けができます。
まとめ
西日は低い角度から窓へ入りやすく、実測研究でも、日射を遮ることで西向き室内の窓際の暑熱環境が改善した結果が確認されています。
対策は、**「外で遮る → 窓で減らす → 室内側で補う」**の順で考えると整理しやすくなります。
まず西日が入る時間帯に窓を見て、直射日光がどこまで当たっているかを確認します。強い西日が窓へ直接当たっているなら、窓を通る前に日射を遮れないか検討してください。


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